突然の事で何がなんだか理解出来ない。口から血を零しながらルギアが呆然としていると、棒から水平方向に別の棒が突き出した。
『な、なんだこれは!? く、はず、外れろ……っ!!』
 ルギアは翼を使って棒を外そうとする。しかし彼の翼で扱うには棒が細すぎて、いたずらに臓腑をかき回しただけだった。
 ルギアは後ろを振り返る。背中にも棒が生えており、その後端には金属の糸が括り付けられていた。糸はたわみながら水面へと続き、洞窟の中に消えている。
 どう考えても、この糸は機械に繋がっているはずだ。
『ぅ……がぁっ……!?』
 ルギアがどうすれば外せるかと必死で考えていると、棒が後ろに引っ張られた。内蔵を擦られた痛みに、思わず呻き声を上げる。





 彼の苦痛を無視して後退していた棒は、返しの役割をしている横棒がルギアの腹に食い込む事で動きを止めた。
『ぐ……! うぅあっ!? あぐっ!!』
 しかし棒が引っ張られる力は衰えず、ルギアの体ごと水面へと昇っていく。慌てたルギアは、近くの岩壁にしがみついた。
 上昇が一時的に止まる。だが引っ張られる力は相変わらずで、それどころかどんどん強まっていった。
『い、いやだ……っ! 引っ張るなぁっ! ぐあっ!? や、やめ、ろぉっ……!』
 ジリジリと、ジリジリとルギアは岩肌から引き剥がされていく。脂汗を流しながら粘ってはみるものの牽引力は絶大で、これ以上頑張ると内蔵を引き裂かれそうだった。


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