ルギアは機械の後ろに位置する水場に目を向ける。もし現状を逃れる術があるとすれば、あの水場に潜り込み脱出する他なさそうだ。そのためには機械をどうにか迂回しなければならない。 機械を迂回する。 ルギアは自分の目の前に立とうとしている機械からどう逃れればいいか、思い付けなかった。高速で動かす事の出来る両腕は、洞窟の壁から壁に届きそうで、その間を潜り抜ける事は至難の業だろう。 しかしそれをしなければ、待っているのは死である。 『……やるしか、ないっ!』 そう奮い立たせて、ルギアは立ち上がった。それだけで目が眩み、地面に倒れそうになる。しかしここで伏しては死ぬだけだと自分を追い込み、ルギアは飛び立った。 水平を維持するための尻尾が上手く動かない。気流を掴み体を浮かす背ビレも同じような状態だ。それでもルギアは翼を羽ばたかせ、前進する。 <……ただだだちちに武力行おおお使をおやややや……> 機械の腕がルギアを掴もうとした。それを予期したルギアは体を回転させ、ギリギリで魔の手を逃れる。 自由な空間に飛び出たルギアは、背ビレに力を込め、水場への最短コースに体を捻り込もうとした。 『くっ……!?』 |
しかしその意思に反して、背ビレは動かない。瓦礫が刺さっていて動かせないんだと気付いた時には、ルギアの目の前一杯にロボットの体が迫っていた。 回避する間も無く、真正面から衝突する。 『ぐあっ!!』 頭から突っ込んだルギアは半回転し、そのまま墜落した。 『あぐっ!! くっ……!』 無様に地面に転がってしまったが、ルギアは急いで体の体勢を立て直そうとする。体を持ち上げようとした翼はワナワナと震え、足も笑ってしまっていた。 動悸を速めながら、ルギアはロボットの方を振り返る。幸いにもまだ壁の方を向いたままで、こちらに体を向けてはいなかった。 |