その時、一際大きな音を立てて天井が崩れた。大量の土砂が降り落ち、洞窟中に砂埃が立ち込める。
『あの下にいたら埋まっていたところだな……』
 自分の身長より何倍も高く積もった土砂を、咳き込みながらルギアは見上げる。気まぐれで起きなければ自分もこれに巻き込まれていただろう。
 生き埋めを逃れた事にほっとしながらも、ルギアはお気に入りの住居が壊れた事に苛立ちを感じていた。
 このやるせなさをどこにぶつければいいか。ルギアが悶々とそんな事を考えていると、土砂の山が揺らいだ。
『む!?』
 中に何かがいる事にようやく気付いたルギアは、慌てて土砂の山から距離を取る。
 山の上の方で土石流が発生し、土砂がルギアの足元まで広がった。しかしルギアは目の前に現れた物を見るのに気を取られ、足が汚れた事に気付かなかった。
『……人間の、機械、か?』






 ルギアは疑問符を付けながら呟く。彼が見たことのある人間の巨大な機械は、せいぜい海を行き交う船くらいだった。が、今目の前にそびえ立つそれは、そんなものなど比べ物にならないくらい複雑な作りだった。人の形を模しているようだが、金属の外皮がひ弱な人間とは正反対の武骨さを醸し出している。
 そして一番の特徴は、ルギアの身長よりも三倍以上も大きい事だった。どうやって複雑でありながらここまで大きい物を作ったのか、ルギアには想像のしようも無い。
 最初のうちはそのように圧倒されていたルギアだったが、機械がいつまでも動く気配を見せないので、警戒を解いた。そうすると自分の寝床だった場所に機械がそびえ立っている事に、段々と怒りを覚えるようになる。



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